六尺桶・二番蔵(イメージ図)

百四十七年、
木桶のなかの時間。

創業 明治十二年(一八七九)

信州・安曇野の山あいで、舟入屋は味噌を仕込みつづけてきました。使うのは大豆と米麹と塩、それに蔵の柱と梁に棲みついた菌たち。木桶に詰めたら、あとは二夏、三夏と、季節がゆっくり味を決めてくれるのを待ちます。

急がないぶん、香りに角が立ちません。代々の仕事をそのまま、いまも六代目が引き継いでいます。

創業
1879
現役の木桶
22
熟成
二夏〜三夏

Chronicle 1879 — 2026

蔵のあゆみ

水車小屋の跡地に建てた小さな蔵から、いまの二番蔵まで。残っている帳面と、聞き伝えの話をもとにまとめました。

1879

水車小屋の跡に、蔵を建てる

初代・舟入幸助が、廃業した水車小屋の石垣を残したまま蔵を起こしました。近隣の農家から大豆を預かり、味噌に仕込んで返す「預け味噌」から始まった商いです。当時の帳面には、桶ひとつぶんの仕込み量と、預かった家の名が細かく記されています。

  • 預け味噌
  • 桶 3 本
1908

六尺桶を入れ、山の水を引く

二代目・幸一が、大桶職人に六尺の木桶を注文。あわせて裏山の湧き水を竹樋で蔵まで引きました。仕込み水を替えたところ、麹のまわりが安定したと帳面の余白に書き残されています。この水路は経路を変えながら、いまも使っています。

  • 六尺桶
  • 伏流水
1928

蔵つきの菌を、たよりにする

県の試験場の指導で蔵の空気を調べたところ、桶や梁に住み着いた酵母・乳酸菌の存在が確かめられました。以来、蔵の中は強い薬剤で洗わず、湯と束子(たわし)で手入れするのが決まりに。柱を撫でて「今年もよろしく」と言うのは、三代目からの癖です。

蔵ごとに菌の顔ぶれが違うため、同じ配合でも味は少しずつ変わります。舟入屋では、その年ごとの差をそのままお出ししています。
1948

大豆をさがして歩いた年

戦後、原料の入手が難しく、三代目・幸太郎は近隣の集落を回って大豆を分けてもらいました。麦や稗を足して仕込んだ年もあり、その記録が「代用帳」として残っています。いま作っている麦味噌「野火」は、この頃の配合を手がかりに組み直したものです。

  • 代用帳
  • 麦味噌の原型
1981

速醸をやめ、天然醸造にもどす

効率を上げるため温醸に切り替えていた時期がありましたが、四代目・幸子の代で全量を常温の天然醸造に戻しました。仕込みから出荷まで最短でも二夏。売り上げは一度落ちましたが、量り売りのお客様が戻ってきてくれたことが支えになりました。

「待つのが仕事なんだから、待たなきゃ」——四代目の口癖として、いまも蔵で言い継がれています。
1998

蔵の戸を開ける

五代目・幸市が蔵見学を始めました。桶の縁から中をのぞいてもらい、二年目と三年目の味噌を舐めくらべる四十分の案内です。初年度の参加は八十名ほどでしたが、いまは学校の校外学習や、料理人の方の見学も受けています。

  • 蔵見学 開始
  • 試食三種
2018

桶を直す人を、蔵に招く

たがが緩んだ六尺桶を三本、桶職人と一緒に修復しました。竹を割り、編み、締め直す作業に蔵の若手も入り、記録映像を残しています。新しく桶を作れる職人が減っているため、直して使い続けることを前提に道具を揃え直しました。

  • 桶の修復
  • 竹たが
2026

六代目、桶の前に立つ

六代目・舟入佳奈が蔵を継ぎました。やることは変わらず、大豆を蒸して、麹をつくって、桶に詰めて待つだけです。少しだけ新しいこととして、桶ごとの温度と仕込み日を記録して公開し、蔵出しの時期をお知らせしています。

  • 桶別の記録公開
  • 頒布のご案内

Three Works

変えずに続けている、三つの仕事

設備を新しくした部分もありますが、味に関わるところは初代からのやり方をそのままにしています。

麹は、蓋(ふた)でつくる

浅い木箱に少量ずつ広げる「蓋麹(ふたこうじ)法」。手間はかかりますが、温度のむらが出にくく、夜通し二時間おきに手入れができます。仕込みの季節は、蔵の二階に灯りがつきっぱなしになります。

木桶で、常温のまま待つ

温度を上げて熟成を早める方法は取っていません。冬は凍える蔵、夏は蒸れる蔵。その振れ幅を桶がゆっくり吸って、二夏、三夏かけて色と香りが決まっていきます。急がせないぶん、後口が穏やかになります。

桶ごとに、味をみて出す

同じ日に仕込んでも、桶が違えば仕上がりも違います。蔵出し前に一本ずつ味をみて、まだ寝かせたほうがよい桶は次の夏まで置きます。そのため、在庫を切らしてお待たせすることがあります。

雨に濡れた古い板張りの縁と、その上に置かれた鉢植えの木。奥に低木の植え込みが茂る
蔵の裏手、桶を洗う板場(イメージ写真)

Calendar of the Kura

仕込みの一年

蔵の仕事は季節に沿って回ります。見学に来られる時期によって、見ていただける作業が変わります。

  1. 一月寒仕込みいちばん冷える時期に大豆を蒸す。雑菌が動きにくい。
  2. 二月麹づくり蓋麹で米麹を。夜通しの手入れが続く。
  3. 三月桶詰め踏み込んで空気を抜き、塩で蓋をして重石を載せる。
  4. 四月仕込み終い桶に札を付け、仕込み日と配合を記録。
  5. 五月桶の手入れ空いた桶を洗い、たがの緩みを見る。
  6. 六月一番の夏へ温度が上がりはじめ、香りが立ってくる。
  7. 七月天地返し上下を入れ替え、熟成のむらをならす。
  8. 八月見守る蔵の窓を開け閉めして風の道をつくる。
  9. 九月利き味噌桶ごとに味をみて、出す桶を決める。
  10. 十月蔵出し二夏越えた桶から順に掘り出し、量り売りへ。
  11. 十一月仕込み支度大豆の選別、塩と米の手配。
  12. 十二月蔵じまい道具を整え、来季の桶割りを決める。

Products

味噌と麹

すべて蔵の量り売り、または袋詰めでお渡ししています。価格は税込です。

  • 蔵出し二年味噌「白鷺」米味噌・中辛 1,180円 / 500g

    二夏越えた、いちばん普段づかいしやすい味噌。だしを控えめにしても味がまとまります。汁物、和え物に。

  • 三年熟成「舟形」米味噌・濃色 1,680円 / 500g

    三夏置いて色が深くなったもの。甘みより香ばしさが立つので、肉や根菜、田楽に合わせる方が多い味噌です。

  • 麦味噌「野火」麦麹・淡色 1,240円 / 500g

    戦後の「代用帳」を手がかりに組み直した配合。軽い口あたりで、夏の冷や汁やきゅうりに添えて。

  • 豆味噌「黒桶」豆麹・長期 1,520円 / 400g

    桶の数がすくないため、秋から冬にかけての限られた時期のみのお渡しになります。煮込みに少量。

  • 生米麹仕込み用・要冷蔵 980円 / 1kg

    ご家庭で仕込まれる方へ。一月から三月のみ、前日までのご予約でお取り置きします。塩と大豆もあわせて手配できます。

  • 味噌漬け 三種詰め胡瓜・大根・人参 860円 / 1袋

    蔵で漬けたものを少しずつ。手土産にされる方が多い品です。

※ 量り売りは 100g 単位で承ります。容器をお持ちいただくと 20 円引きです。※ 天然醸造のため、仕込んだ年や桶によって色と香りに差が出ます。※ 在庫状況により、お渡しをお待ちいただく場合があります。

Kura Tour

蔵見学・仕込み体験

いずれも事前のご予約が必要です。蔵は足元が濡れていることがあるため、歩きやすい靴でお越しください。

障子と畳のある座敷。低い座卓のまわりに座布団と座椅子が並び、奥の窓から柔らかい光が入る
見学のあと、母屋の座敷で汁物を一杯(イメージ写真)
40分

蔵をのぞく

無料/ お一人

  • 木桶の並ぶ二番蔵をご案内
  • 二年味噌・三年味噌の試食
  • 平日 10:00 / 14:00 の二回
  • 前日までにお電話でご予約
90分・おすすめ

木桶と麹の話

1,500円 / お一人

  • 麹室(こうじむろ)の中まで
  • 味噌三種の利き味噌つき
  • 汁物一杯とお茶
  • お土産に 100g パック
半日

仕込み体験

6,800円 / お一人

  • 大豆を潰して桶に詰めるまで
  • 仕込んだ味噌 3kg をお持ち帰り
  • 一月〜三月のみ・定員 8 名
  • 翌年の蔵出しにご招待

※ 記載の料金はすべて税込です。※ 小学生以下のお子様は保護者の方とご一緒にお願いします。※ 麹室は衛生管理のため、体調のすぐれない方のご入室をお断りすることがあります。※ 団体(10名以上)は別途ご相談ください。

Questions

よくいただくご質問

味噌はどのように保存すればよいですか。
冷蔵庫での保管をおすすめします。表面が空気に触れると色が濃くなっていくため、ラップを密着させてから蓋を閉めてください。色の変化は熟成が進んだもので、風味は少しずつ変わっていきます。
白い粒や、うっすらとした膜が出ることがあります。
白い粒はアミノ酸の結晶であることが多く、そのままお使いいただけます。産膜酵母による白い膜も、取り除けば問題なくお使いいただけます。判断に迷われたときは、写真を添えてお問い合わせください。
二年味噌と三年味噌は、どちらを選べばよいですか。
毎日の汁物に使われるなら二年の「白鷺」、煮込みや焼き物で香ばしさを出したいときは三年の「舟形」を選ばれる方が多いです。蔵見学では両方を舐めくらべていただけますので、迷われたらぜひお試しください。
発送はしていますか。
クール便での発送を承っています。蔵出しの時期(十月以降)はご注文が重なり、お渡しまで一週間ほどお時間をいただくことがあります。お急ぎの場合は、その旨をお書き添えください。
原材料とアレルギーについて教えてください。
米味噌は大豆・米・食塩、麦味噌は大豆・大麦・食塩、豆味噌は大豆・食塩を使用しています。同じ蔵で大麦を扱っているため、麦の混入を完全には避けられません。詳しい表示は商品の袋に記載しています。

Contact

お問い合わせ・ご予約

蔵見学のご予約、量り売り・発送のご相談は、お電話かこちらのフォームからどうぞ。仕込みの時期は蔵に出ていることが多く、折り返しになる場合があります。

いただいた内容は、ご連絡と蔵の運営のためだけに使用します。

舟入屋 味噌蔵

0263-00-0000
舟入屋 味噌蔵の所在地と営業のご案内
所在地〒399-0000
長野県安曇野市白鷺町一丁目0-0(架空の住所です)
蔵の売店9:00 — 17:00
定休日毎週水曜/年末年始
駐車場普通車 8 台・大型バス 1 台(要事前連絡)
最寄り白鷺口駅から徒歩 12 分(架空の駅名です)
舟入屋 味噌蔵 白鷺口駅 白鷺川 県道

県道沿い、白鷺川の一本南です。看板が小さいため、通り過ぎた場合はお電話ください。